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ワクチン接種プログラムについて
あっという間に初夏の陽気ですね。
本日は、先週末に乳腺を取ったワンちゃんが経過順調に回復してくれていました。元気も食欲もあるので、あとは抜糸までの辛抱です。
さて、以前ワクチン接種の考え方をこのコーナーでお伝えしましたので、今回は、実際にどのような接種の仕方を推奨しているかについてお伝えします。
まず、ワンちゃんですが、生まれた年は基本3回のワクチン接種と1年後に1回の接種が基本です。ワクチンの種類は、その子が山や川、キャンプに行くなど外に出ることが多いというような生活スタイルであれば、「レプトスピラ」という細菌感染に対するワクチンを他のウイルス感染症のワクチンと一緒に接種することをお勧めします。その後1年目以降のワクチン接種プログラムは次のようになります。
1、レプトスピラ症予防が必要
ワクチン接種予定日にレプトスピラ(5種)ワクチン接種+ウイルス感染症抗体検査実施
→抗体価十分(免疫十分)ならば、本年のワクチン接種は終了
→抗体価不十分(免疫不十分)ならば、追加で5種混合ワクチンを接種し本年のワクチン接種は終了
2、レプトスピラ症予防が不要
ワクチン接種予定日にウイルス感染症抗体検査のみ実施
→抗体価十分(免疫十分)ならば、本年のワクチン接種は終了
→抗体価不十分(免疫不十分)ならば、5種混合ワクチンを接種し本年のワクチン接種は終了
次に猫ちゃんですが、まず生まれた年は5種ワクチンを2〜3回接種と1年後に同じワクチンの1回接種が基本です。5種ワクチンを選択していますが、これは、1歳未満の子猫は猫白血病ウイルスに感染した場合、持続感染となる(体から免疫により排除できない)可能性が高いためです。もちろん猫白血病ウイルスへの感染リスクが極めて少ない生活環境の場合には3種を選択することもあります。
その後は、生活環境に応じ、以下のワクチンプログラムを推奨しています。
1、外に出る、家に他の猫ちゃんが多くいる、ペットホテルをよく利用するなど感染リスクが高い、またはストレスがかかりやすい生活環境
→年1回の3種(外には出ない猫)もしくは5種(外に出る猫)のワクチン接種
2、全く外に出ない、同居猫がいない生活環境
ワクチン接種予定日にウイルス感染症抗体検査のみ実施
→抗体価十分(免疫十分)ならば、本年のワクチン接種は終了
→抗体価不十分(免疫不十分)ならば、3種ワクチンを接種し本年のワクチン接種は終了
あくまでも、ペットの身体に最も負担の少ないと考える基本的な接種プログラムです。身体への負担は少ないですが、費用負担は従来のワクチン接種よりも大きくなってしまう場合もありますので、その子その子の生活環境や体質、飼い主さまのご希望などを総合して最終的には決めていきます。
犬へのワクチン接種で、1度の接種でレプトスピラ症も他のウイルス感染症も予防できた方が継続しやすいという場合もあると思いますので、その場合には7種ワクチンを紹介しています。
最近では、すべてのワクチンではありませんが、ワクチン接種間隔は3年以上を推奨するガイドラインもあります。世界的には日本を含め1年に1回が多い国とそうでない国がありますので、何が良いか難しいところですが、日本は世界的に見てもワクチン接種率は決して高くないという現状もありますので、当院では、抗体検査を取り入れて判断するのが現状良いと考えています。とは言っても抗体検査の費用が高く、また検査センターの抗体検査では検査できないワクチンもありますので、悩ましい所です。1件1件状態を確認した上で、良い方法を探していく対応をしていく状態がしばらく続くと思っています。
ワクチン接種間隔が開くデメリットの一つが、健康チェックをする機会が減り、病気の初期症状を発見できなくなる可能性が増えることです。人の年齢に換算して40歳を過ぎる5歳を超える子については、年に1回は健康診断を受けられるのが良いと思います。例えば抗体検査に合わせて、他の血液検査等も実施されてはいかがでしょうか。