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犬のフィラリア症予防について
今年の冬は厳しかったので、暖かい日が来るとほっとします。いつの間にか3月になり、そろそろフィラリア等の予防を考える時期になってきました。
フィラリアについても、色々なところでお話を聞くと思いますので、大切な点についてだけお伝えしようと思います。
1、予防薬の投与でほぼ100%予防できる
医療の世界では、なかなか100%の効果を期待できるものはないのですが、この予防薬は正しく使用することで、ほぼ100%の効果を期待できます。逆に使用法を誤ったり、投与を忘れたりしてしまいフィラリアが体内に寄生してしまうと、駆虫が非常に困難ですので、正しく使用することが何より大切です。
2、フィラリア症予防薬は実は駆虫薬
フィラリア症の予防薬は、実はフィラリア幼虫の駆虫薬です。駆虫薬を投薬することでフィラリア症を予防するものです。フィラリア幼虫は、蚊が血を吸う際に寄生します。この幼虫が犬の体内を移動しながら成長していくのですが、この駆虫薬は成長の前半にいる幼虫に効果があります。1ヶ月に1度投薬することで、体内に寄生して1ヶ月に満たない薬の効果がある段階の幼虫を駆虫することができます。
ですので、予防薬の投薬は1ヶ月に1度確実に行うことが大切です。
3、薬処方時のフィラリア検査は投薬開始直前に
薬処方時には、安全に投薬するために、前シーズンの予防が成功しているか否かを血液検査で調べます。この検査は、実はフィラリアの成虫がいるか否かを調べる検査です。上でも書いた通り、フィラリアは感染時は幼虫です。よって、感染後しばらくは、血液検査をしても陰性(感染していない)との判定が出てしまいます。幼虫が体の中で成長して成虫となり、血液検査で反応が出るまでには6ヶ月程度かかります。
活性化した蚊が飛ぶ時期は、当院周辺では4月から11月ですので、血液検査の時期は投薬開始時の5月(活性化した蚊の飛び始めから1ヶ月後)が望ましいですが、早くても4月以降が良いと思います。
より安全に投薬するために、また、痛いのを我慢して血液をとられるワンちゃんのためにも、ちゃんと意味のある検査をしてあげて下さい。早めに済まそうと3月早々に検査をするようなことはお勧めしません。
最近はダニやノミから直接・間接的に人に感染する病気の報告もよく耳にします。フィラリアだけでなくノミやダニの予防も行って、ペットも飼い主さまも共に健康に暮らせるよう気をつけてくださいね。
最近は、猫のフィラリア症の報告も聞くところです。こちらについてはまた別の機会にお話しできたらと思っていますが、当院では、現在のところ、様々な理由から、積極的な猫フィラリア症予防の啓蒙はおこなっておりません。しかし、事実、猫への感染報告がありますので、犬同様にフィラリア予防を猫にしてあげることで、より積極的に猫の健康に寄与できる可能性があると考えています。